外出先でスマートフォンを使い続けるために、欠かせない存在となったモバイルバッテリー。しかし、その便利さの裏側には、発煙や発火といったリスクが潜んでいます。

2024年1月21日には、東京メトロ日比谷線の車内で乗客のモバイルバッテリーが発火する事案が発生し、3万人以上の利用客に影響が出ました。
本記事では、このような突然のトラブルを防ぐために、私たちが気をつけるべきポイントをまとめました。

モバイルバッテリーが発火する主な原因

昨今のモバイルバッテリーの多くにはリチウムイオン電池が採用されています。高密度・大容量で効率よく充電できるという特徴がある反面、強い衝撃や熱に対してデリケートな性質も持っています。

以下は、エレコムの商品開発部担当者へのインタビューを一部抜粋したものです。

例えば従来のモバイルバッテリーに外部から衝撃を与えると……つまりは固い地面に落としたり、めったにないと思うが釘を刺したりすると、一気に発火リスクが高まる。これらは電池内部の正極と負極が接触することで、急激に電池内部で化学反応が起こり、温度上昇して発火に至るのです。

通常のリチウムイオン電池は、充電を重ねていくと……だいたい500〜1,000回くらいを超えると、電池の内部にデンドライトという針のようなものが形成されます。この針のようなものが時間をかけて成長し、釘刺しと同じようにセパレートを突き抜けて負極と正極がつながると、発火のリスクが高まります。

(引用元:impress.co.jp

突然発火する理由

たとえ正常に使用できていても、リチウムイオン電池のダメージは「時間差」で表面化することがあります。

そのため、”車内で突然発火”という事態も、過去に受けた物理的なダメージや経年劣化が蓄積した結果だと考えられます。

2025年に発生した駅や電車での発火事故

2025/07/20 JR山手線の車内でモバイルバッテリーが発火し、5人がけが
2025/08/24 JR水戸駅でモバイルバッテリーが発火
2025/08/28 新幹線の車内でモバイルバッテリーが発火し、1人がけが

モバイルバッテリーの発火事故が多いのはなぜ?

スマホにもリチウムイオン電池が入ってるのに、モバイルバッテリーの発火事故が多いのはなぜ?

フレーム設計の違い

スマートフォンはアルミニウムやマグネシウム合金の堅牢なフレームに電池が固定されており、外部からの衝撃が電池に直接伝わりにくい構造です。

モバイルバッテリーは、コスト削減や軽量・薄型化を優先するため、プラスチックケース内に電池が収められていることが多く、衝撃がダイレクトに電池へ伝わりやすい傾向にあります。

放熱性能

スマートフォンにはグラファイトシートやヒートパイプ、ベイパーチャンバー(iPhone 17 Proで採用)など、高度な放熱システムが組み込まれています。

モバイルバッテリーは、密閉されたプラスチックケース内に電池が詰まっているため、内部に熱がこもりやすい構造です。

制御チップ

安価なモバイルバッテリーの中には、温度上昇時の電流制限や過充電防止といった保護回路が簡略化されているケースが散見されます。この制御不足がバッテリーへの過度な負荷を招く恐れがあります。

参入コストの低さ

モバイルバッテリーは大規模な設備投資を必要とせず、ノーブランド品や格安品も広く流通しています。

中には電池自体のセパレーター(絶縁膜)を極限まで薄くして容量を稼いでいる製品もあり、その分ショートを起こすリスクが高くなっています。

信頼できるメーカーの選び方

(左:ノーブランド品 / 右:Anker Japan )

製品選びにおいて「信頼できるメーカー」を選択することは、安全を確保するための重要な指標となります。

  • 家電量販店での取り扱い実績があるメーカー
  • 自社工場を保有し、品質管理を徹底しているメーカー
  • 保証期間が長く、サポート体制が明確に記載されている
国内有名ブランド
CIO
Cheero
エレコム
など
海外有名ブランド
Anker
Belkin
Xiaomi
など

リコール情報の確認

(引用元:Anker Japan)

過去のリコール実績は、メーカー選びの参考になります。
最近では有名ブランド「Anker」において、40万台を超える大規模なリコールが実施されました。

「発火した/発火の恐れがある」という情報はネガティブに捉えられがちですが、迅速な公表と回収は、メーカーとしての責任感の表れとも評価できます。

低価格な製品に潜むリスク

市場には非常に安価な製品も出回っていますが、販売後のサポートが期待できないメーカーも存在します。製品自体の品質が十分に確保されていないことが多く、トラブルを誘発しがちです。

極端に大容量かつ低価格な製品は、保護機構などの目に見えない部分でコストが削減されている可能性が高いため、慎重な検討が必要です。

バッテリーを安全に使い続けるためのポイント

発火対策が施された耐火ポーチの活用

オンラインショップやパソコン専門店では、耐火・耐熱ポーチが販売されています。
モバイルバッテリーをコンパクトに収納でき、万が一の際にも被害を最小限に抑えられます。1,000円前後で購入可能なため、備えておくのがおすすめです。

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高温環境への放置を避ける

夏場の車内や直射日光が当たる場所への放置は極めて危険です。
ダッシュボードのホルダーにスマートフォンを固定したまま車を離れる光景を見かけますが、重大な事故につながる恐れがあるため絶対に避けましょう。

強い衝撃を与えない

落下などの衝撃には細心の注意が必要です。一度の落下で直ちに異常が出なくても、内部ダメージが蓄積し、後日の発火につながる恐れがあります。

特に、本体の変形、異臭、異常な発熱が見られた場合は直ちに使用を中止し、適切に処分してください。

正しい知識を持って扱い、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、自身の安全を守ることにつながります。

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